○寿都町文化財保護条例
昭和44年3月28日
条例第18号
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項の規定に基き、法及び北海道文化財保護条例(昭和30年北海道条例第83号。以下「道条例」という。)により指定を受けた文化財以外の文化財で、寿都町(以下「町」という。)の区域内に存するもののうち町にとつて重要なものについてその保存及び活用のため必要な措置を講じ、もつて寿都町住民の文化的向上に資するとともにわが国文化の進歩に貢献することを目的とする。
(1) 有形文化財 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書籍、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で寿都町にとつて歴史上又は芸術上価値高いもの及び考古資料をいう。
(2) 無形文化財 演劇、音楽、工芸技術その他無形の文化的所産で寿都町にとつて歴史上又は芸術上価値高いものをいう。
(3) 民俗資料 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗習慣及びこれに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないものをいう。
(4) 記念物 貝塚、古墳、都城跡、城跡旧宅その他の遺跡で寿都町にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で寿都町にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で寿都町にとつて学術上価値の高いものをいう。
(財産権等の尊重及び他の公益との調整)
第3条 町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行に当たつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 町指定有形文化財
(指定)
第4条 教育委員会は、町の区域内に存する有形文化財(法第27条第1項の規定により重要文化財に指定されたもの及び道条例第4条第1項の規定により道指定有形文化財に指定されたものを除く。以下同じ。)のうち町にとつて重要なものを寿都町指定有形文化財(以下「町指定有形文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする有形文化財の所有者及び権原に基く占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基く占有者が判明しない場合を除く。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該有形文化財の所有者及び権原に基く占有者に通知してする。
6 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該町指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第5条 町指定有形文化財が町指定有形文化財としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
3 町指定有形文化財について法第27条第1項の規定による重要文化財の指定があつたとき、又は道条例第4条第1項の規定による道有形文化財の指定があつたときは、当該町指定有形文化財の指定は、解除されたものとする。
4 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該町指定有形文化財の所有及び権原に基く占有者に通知しなければならない。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第6条 町指定有形文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づいて発する教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、町指定有形文化財を管理しなければならない。
2 町指定有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、もつぱら自己に代り当該町指定有形文化財の管理に任ずべき者(以下この章において「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。
4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。
(所有者の変更等)
第7条 町指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 町指定有形文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(滅亡、き損等)
第8条 所有者(管理責任者がある場合はその者)は、町指定有形文化財の全部又は一部が滅失し若しくは盗み取られたときは、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第9条 町指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合はその者)は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(管理又は修理の補助)
第10条 町指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、町は、その経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。
(1) 管理又は修理に関し条例、規則又は教育委員会規則に違反したとき。
(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。
(3) 前条第2項の補助の条件に従わなかつたとき。
(管理又は修理に関する勧告)
第12条 町指定有形文化財の管理が適当でないため当該町指定有形文化財が滅亡し、毀損し、又は盗み取られる虞があると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し管理方法の改善、保存施設その他の管理に関し必要な措置を勧告することができる。
2 町指定有形文化財が毀損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。
3 前2項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を町の負担とすることができる。
2 前項に規定する「補助金又は負担金の額」とは、補助金又は負担金の額を、補助又は費用負担に係る修理を施した町指定有形文化財につき、教育委員会が定める耐用年数で除して得た金額に、更に当該耐用年数から修理等を行なつた時以後当該町指定有形文化財の譲渡の時までの年数を控除した残余の年数(1年に満たない部分があるときは、これを切り捨てる。)を乗じて得た金額に相当する金額とする。
3 補助又は費用負担に係る修理等が行なわれた後、当該町指定有形文化財を町に譲り渡した場合その他特別の事情がある場合には、町は、第1項の規定により納付すべき金額の全部又は一部の納付を免除することができる。
(現状変更の制限)
第14条 町指定有形文化財の現状を変更しようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、教育委員会規則の定める範囲の維持の措置をする場合は、この限りでない。
2 町指定有形文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言を与えることができる。
(公開)
第16条 教育委員会は、町指定有形文化財の所有者に対し6か月以内の期限を限つて、教育委員会の行なう公開の用に供するため当該町指定有形文化財を出品することを勧告することができる。
2 教育委員会は、町指定有形文化財の所有者に対し3か月以内の期限を限つて当該町指定有形文化財の公開を勧告することができる。
4 町は、第1項の規定により出品した所有者に対し、給与金を支給することができる。
5 教育委員会は、第1項の規定により町指定有形文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該町指定有形文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
6 教育委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る町指定有形文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
(調査)
第18条 教育委員会は、必要があると認めたときは、町指定有形文化財の所有又は管理責任者に対し当該町指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
(所有者変更に伴う権利義務の承継)
第19条 町指定有形文化財の所有者の変更があつたときは、新所有者は、当該町指定有形文化財に関しこの条例に基いてする教育委員会の勧告指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は、当該町指定有形文化財の引渡と同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
第3章 町指定無形文化財
(指定)
第20条 教育委員会は、町の区域内に存する無形文化財(法第56条の3第1項の規定により重要無形文化財に指定されたものを除く。)のうち、町によつて重要なものを町指定無形文化財に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当たつては、当該町無形文化財の保持者を認定しなければならない。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該町指定無形文化財の保持者として認定しようとする者に通知してする。
5 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該町指定無形文化財の保持者として認定するに足りる者があると認めるときは、その者を保持者として追加認定することができる。
(解除)
第21条 町指定無形文化財が町指定無形文化財としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 町指定無形文化財の保持者が心身の故障のため、保持者として適当でなくなつたと認められる場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その認定を解除することができる。
5 町指定無形文化財について法第56条の3第1項の規定による重要無形文化財の指定があつたとき又は道条例第20条第1項の規定による道指定無形文化財の指定があつたときは、当該指定無形文化財の指定は、解除されたものとする。
6 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに当該町指定無形文化財の保持者として認定されていた者に通知しなければならない。
7 町指定無形文化財の保持者が死亡したときは、保持者の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したときは、町指定無形文化財の指定は解除されたものとする。この場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。
(保持者の氏名変更)
第22条 町指定無形文化財の保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、その他教育委員会規則の定める事由があるときは、保持者又はその相続人は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(保存)
第23条 教育委員会は、町指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、町指定無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を行なう場合保持者その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第24条 教育委員会は、町指定無形文化財の保持者に対し町指定無形文化財の公開を、町指定無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第25条 教育委員会は、町指定無形文化財の保持者その保存に当たることを適当と認める者に対しその保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第4章 民俗資料
(町指定民俗資料)
第26条 教育委員会は、町の区域内に存する有形の民俗資料(法第56条第1項の規定により重要民俗資料に指定されたもの及び道条例第26条第1項の規定により道指定民俗資料に指定されたものを除く。)のうち町にとつて重要なものを町指定民俗資料に指定することができる。
(町指定民俗資料の指定の解除)
第27条 町指定民俗資料が町指定民俗資料としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 町指定民俗資料について法第56条第1項の規定による重要民俗資料の指定があつたとき又は道条例第26条第1項の規定による道指定民俗資料に指定があつたときは、当該町指定民俗資料の指定は、解除されたものとする。
(町指定民俗資料の現状変更)
第28条 町指定民俗資料の現状を変更しようとする者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 町指定民俗資料の保護上必要と認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る現状の変更に関し必要な指示をすることができる。
(無形の民俗資料の記録の作成等)
第30条 教育委員会は、町の区域内に存する無形の民俗資料(法第56条の18で準用する法第59条の9の規定により文化財保護委員会が選択したもの及び道条例第30条第1項の規定により北海道教育委員会が撰択したものを除く。)のうち特に必要のあるものを選択して、自らその記録を作成し、保存し、若しくは公開する場合、当該民俗資料の公開若しくはその記録の作成に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
第5章 町指定史跡名勝天然記念物
(指定)
第31条 教育委員会は、町の区域内に存する記念物(法第69条第1項の規定により史跡、名勝又は天然記念物に指定されたもの及び道条例第31条第1項の規定により道指定史跡、道指定名勝又は道指定天然記念物に指定されたものを除く。)のうち町にとつて重要なものを町指定史跡、町指定名勝、町指定天然記念物(以下「町指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
(解除)
第32条 町指定史跡名勝天然記念物が町指定史跡名勝天然記念物としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 町指定史跡名勝天然記念物について法第69条第1項の規定による史跡、名勝又は天然記念物の指定があつたとき又は道条例第30条第1項の規定による道指定名勝又は道指定天然記念物の指定があつたときは、当該町指定史跡名勝天然記念物の指定は、解除されたものとする。
(標識等の設置)
第33条 町指定史跡名勝天然記念物の所有者は、教育委員会の定める基準により町指定史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。
(現状変更等の制限)
第35条 町指定史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については教育委員会規則の定める範囲の維持を措置する場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合はこの限りでない。
(埋蔵文化財)
第36条 土地を発掘して埋蔵物である文化財を調査しようとするときは、法第57条から65条まで及び法第84条の規定による。
第6章 調査委員
(設置)
第38条 教育委員会に寿都町文化財保護調査委員(以下「委員」という。)を置く。
(組織)
第39条 委員の定数は、10人以内とする。
2 特別の事項を審議する必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3 委員及び臨時委員は、学識経験者の中から教育委員会が委嘱する。
4 委員の任期は、2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
5 教育委員会は、特別の理由があるときは、任期中であつても委員を解嘱することができる。
6 臨時委員は、当該事件の審議が終わつたときは、解嘱されるものとする。
第7章 補則
(施行規則)
第40条 この条例の施行に関し、必要な事項は、教育委員会規則で定める。
第8章 罰則
(刑罰)
第41条 町指定有形文化財を損壊し、き損し、又は隠匿した者は、3万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第42条 町指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしてこれを滅失し、毀損し、又は衰亡するに至らしめた者は、3万円以下の罰金若しくは科料に処する。
附 則
この条例は、昭和44年4月1日から施行する。
附 則(平成4年3月10日条例第4号)
この条例は、平成4年4月1日から施行する。